




超初心者向け。シャチの生態講座!
シャチっていったいどんな生き物? シャチはどんな生活をしているの?
シャチの生態をまとめてみました!
真面目な情報から小ネタ的なものまで。
シャチの魅力を知って頂けると嬉しいです!

生息地
シャチは世界中に生息している。
アラビア海や地中海といった温かな場所から、南極のような寒い海、もちろん私たちの住む日本近郊の海にも生息している。
比較的寒い地域で見られるが、海洋生態系の頂点に立つシャチは天敵も少なく適応能力に優れているために地球上でもっとも広く分布する哺乳類の一種である。

呼称
シャチは、正式な学名をオルキヌス・オルカ(Orcinus orca)という。これはラテン語で、冥界の魔物という意味である。
英名:キラーホエール(Killer Whale)クジラを殺すことや、殺し屋のようなクジラだからなど諸説はあるが、どちらにせよぶっそうな名前がつけられている。
和名:サカマタ。現在ではシャチと呼ばれているが、正式な和名はサカマタだ。中国の武器、逆戟に背びれの形が似ている事から名づけられた。
他にも、フランス語:オルク(orque)/ロシア語:カサートカ(касатка)/中国語:フジン(虎鯨)/韓国語:ボムゴレ(범고래)などと呼ばれている。

寿命
シャチの寿命はオスが30年、メスが50年と言われている。
これまでに観測されている最長寿命は、オスが50年、メスが80年と、あまり私たちと変わりがない。
だが、新生児の生存確率は50%と言われているうえに、出生率も低い。
そのうえ近年ではエサ場の騒音やダムによるエサの減少など、環境悪化により絶滅に瀕しているポッドもある。
飼育下での寿命は、平均で30年と言われている。

社会性
シャチは、高い社会性を持つ生き物として知られている。
ポッドで生活する中で、生まれたばかりの仔シャチの世話は他のメスも参加する。そうして育児を学び、狩りの仕方などを学んでいくとされている。
他にも、怪我などで上手く泳げないなど、弱い個体に対してエサを分け与えるなどの行動もみられる。
しかし一方で、狩りを教えるためにエサとなる動物を捕まえては逃がすなどの行動が、残虐に見えることも。
最終的には生きたまま逃がすこともあるが、相手からすれば堪ったものではないかもしれない…。
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探査能力
シャチの探査能力は非常に高く、100メートル離れた場所にあるオレンジほどの大きさの獲物を察知できる。
噴気孔(鼻)の奥から1秒間に数百回ものクリック音を発することが可能で、その反響音で獲物の場所を察知する。
なおクリック音は、秒速1500メートルの速さで水中を伝わる。それは空気中を音が伝わる速さの5倍だ。

体温
通常の体温は35度台で人とあまり変わらない。
飼育下のシャチの体温は、肛門から50センチほど管を差し込んで直腸温度を計っている。
なお出産直前は1度ほど体温が下がるという。

シワ
とても美しいボディラインを誇るシャチ。だが、生まれたばかりのシャチは体の真ん中あたりに何本もシワが入っている。そして背びれもぺたんと寝ているのだ。
これは母体の中で体を折り曲げているからで、数日でシワは消え、背びれはまっすぐになるそうだ。

授乳
水中で生活するシャチは、もちろん授乳も泳ぎながら行う。
仔シャチは舌をストローのように丸めてお乳を飲む。
一回の時間はそう長くはなく、10秒ほど。生まれてから一週間くらいが一番授乳の多い時期。一日に100回から150回仔シャチはお乳を飲む。

ジャンプ
ジャンプをするのはなにも水族館のシャチだけではない。
この行動は野生のシャチにも多く見られ、水面に勢いよく体を叩き付けることで皮膚についた寄生虫などを落としているのだ。海底の岩や砂利などに体を擦りつけて垢を落とす姿なども観測されている。
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食性
シャチの食性は、生息域によって様々だ。
魚を好むシャチ。ペンギン、アザラシ、オットセイ、クジラなどを食べるシャチもいる。
他にも食性は様々だが、エサの少ない地域にあってもポッドごとに違うものを食べることで、厳しい状況下でも生き抜く術を身につけている。
成長した大人のシャチは、平均で一日225キロの食糧を食べるとされている。

体の特徴
シャチは白と黒がくっきりと分かれた体の色をしているのが特徴である。
アイパッチと呼ばれる頭部付近にある楕円形の模様は目ではなく、目はアイパッチの前方すぐ下にある。
丸い胸びれには私たちと同じように五指の骨が通っているが、背びれと尾びれに骨はない。
背びれの後ろにある灰色の模様はサドルパッチと呼ばれている。野生のシャチを観測する際には、このサドルパッチと背びれの形で個体の識別をする。
なお、体はその殆どが伸縮性に優れた筋肉で構成されていて、脂肪はないらしい。羨ましい限りである…。

全長と体重
シャチの全長と体重は、性別によって変わる。
オスの全長はおよそ6メートルから8メートル。体重は3.5トンから6トン。最大では10トンになるシャチも観測されている。
メスは全長およそ3メートルから5メートル。体重は1.5トンから4トンと、オスに比べるとやはり小さい。
なお、生まれたばかりの仔シャチでも、全長1.8メートル、体重は200キロ程度と、かなり大きいのがわかる。
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言葉
シャチは鳴き声によって会話を交わし、コミュニケーション能力に優れている。
そしてポッドごとに鳴き声に特徴があり、方言のようなものも存在する。
仲間を呼ぶのはもちろん、窮地に陥った時に助けを呼んだり、高度なコミュニケーション能力を備えている。
ときにはお説教などもあるかもしれない…。

速度
シャチの泳ぐスピードは、時速50キロから80キロにもなると言われている。これは海洋生物の中で最も速い。
最近では高速で進行する小型ボートと同じ速度で泳ぐ姿などが撮影されており、2トンのシャチに50キロのスピードで追いかけられると思えば恐ろしく感じるレベルである。
もちろん、そんな速度で突っ込まれれば、人間などひとたまりもなくご愁傷様である…。
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ブロー
シャチは頭の上にある噴気孔で呼吸をしている。
クジラのイラストなどで、頭から水を吹き上げているのを見たことがある人は少なくないだろう。まぁ、さすがにあそこまで水を吹き上げることはないが、タイミングによっては美しい飛沫が上がるのと、力強いブローの音を聞くことが出来る。
ちなみにこの時、鼻くそが一緒に飛んでくるとかこないとか…。

ヒゲ
ご存知だろうか。シャチにはヒゲがあったということを…。
必要がないのですぐに抜けてしまうが、大人になっても毛穴がくっきりと残っている個体もいるらしい。
近くで見る機会があれば、毛穴を探してみるのも楽しいかもしれない。

おっぱい
シャチのお乳は生殖器の横にある。
写真の黒い小さな三角形の左右下にぷっくりとしているのがシャチのお乳である。
中央に入っている長い割れ目は生殖器と排泄器だ。

蝕感
さて、シャチを触るとどんな感じなのだろうか。
よく水族館のトレーナーさんは、濡れた茄子のような感じと表現します。
確かに表面は濡れた茄子に近い感じで、触れると体温が感じられる。
個人的には、硬さは個体によって異なっている気がしている。例えばラビーよりもララの方が筋肉質で硬い感じがするなど、それぞれ違いがある。

家族形態
シャチはメスを家長とした家族形態で、ポッドと呼ばれる群れで生活をしている。
ポッドによって、同じ地域に留まって生活していたり、移動しながら狩りをして生活するなど様々だ。
基本的には一生を通して同じポッドで生涯を終えるとされている。

種類
シャチは世界中に分布しているが、その種類はタイプAからDと、種類がある。
タイプA:水族館などでもみられる一般的なシャチだ。
タイプB:タイプAよりも少し小型のシャチで、沿岸部に生息。ペンギンやアザラシを主食にしていると言われている。
タイプC:特徴的なアイパッチを持ち、シャチの中では最も小型のシャチだ。
タイプD:比較的新しく発見されたシャチで、丸みを帯びた頭部と小さなアイパッチが特徴。なおタイプDは新種ではないかと言われており、現在調査が進められている。
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骨格
シャチの胸びれには私たちと同じように5本の骨がある。
これを器用に動かして、水中で停止したり、くるくると体を回転させたりと自由自在に動くことが可能だ。
シャチは哺乳類なので肺呼吸をしており、肺や内臓を守る肋骨がある。
だが、二足歩行の私たちとは違って腰骨は小さく、その大きさは人間の親指ほどと、体の大きさからは想像もできないほど小さい。
歯の生え変わりはない。8センチから13センチほどの鋭い歯が、40本から48本ほど上下とも等間隔に並んでいる。

繁殖
シャチに明確な繁殖期はないが、およそ45日の繁殖周期がある。
オスは10歳から13歳、メスは6歳から9歳で性成熟を迎える。
オスの生殖器の長さは1メートル以上と、かなりの大きさを誇る。
当然ながら交尾は水中で行われ、妊娠期間は17ヶ月から18カ月と私たちよりも長い。
基本的に仔シャチは尾びれから生まれるが、頭から生まれる逆子もいる。
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睡眠
シャチに限らず、イルカやクジラ、ベルーガなどもそうだが、海洋性哺乳類が完全に眠ることはない。
半球睡眠という、脳を片方ずつ休める方法をとっている。この時、片方の目だけを閉じているので、近くで観察してみるのも面白いかもしれない。
水族館のシャチなどは、浮いているだけでなく、ゆっくりと泳ぎながら寝ていることも。

成長過程
シャチの平均的な成長過程と速度は以下の通りだ。
初授乳:1~4日
へその緒脱落:15~25日
皮剥けの開始:28~50日
エサ遊び:43~66日
歯の生えはじめ:70~86日
エサを食べる:116~129日
※出典:鴨川シーワールド
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色
シャチの色は白と黒だが、生まれたばかりのシャチは白い部分が黄味がかっている。
何度か皮剥けを繰り返し、私たちが見慣れた白黒の姿になっていくのだ。
なお、皮は一気に剥けるわけでなく、徐々に剥けていくためにちょっと痛々しく見える…。

アカ
シャチは人間と同じように垢が出ることをご存じだろうか。これはしっかりと新陳代謝が行われている証しでもある。
水族館のトレーナーさんの話によれば、黒いところを擦ると黒い垢が、白いところは白い垢が出るのだそう。
飼育下のシャチはトレーナーさんに体を掻いてもらうのが好きである。掻いて欲しいところをトレーナーさんの手元にもっていく姿は、見ていてとても和む。
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口の中
シャチの口の中がどうなっているのかといえば、もちろん舌があります。
そして上あごには個体それぞれの黒い模様が。
最近ではこの模様で正式な個体の識別をするようになったのだそうだ。
水族館に行った際は、是非とも違いを見てみて欲しい。